最近では、家族と同居するというような、さまざまな理由で二世帯住宅の増築を検討している方も増えてきています。二世帯住宅には『完全分離型・完全共有型・部分共有型』などのタイプがあり、どの方法が最適かはライフスタイルや家族構成などによって異なります。
その中で二世帯住宅へリフォームする際に、増築が必要になったという方もいるでしょう。増築は規模が大きくなればなるほど、法規制や登記が絡んできて複雑になるため、事前にしっかりと必要な情報を入手しておくことが重要です。
そこで本記事では、二世帯住宅へのリフォームで増築が必要な場合に知っておきたいポイントや費用相場、使える補助金などについて解説していきます。これから二世帯住宅へのリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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二世帯住宅へ増築する際に考えるべき4つのポイント
さっそく、二世帯住宅へ増築する際に考えるべきポイントをみていきましょう。考えるべきポイントは以下の4つです。
下記で詳しく解説していくので、これから増築リフォームを行う際の参考にしてみてください。
ポイント①二世帯住宅のタイプ
1つの家を2世帯住宅へ増築リフォームする場合、主に「完全共有型」「完全分離型」「部分共有型」の3種類のタイプに分けられます。
項目 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
完全共有型 | すべての設備や部屋を二世帯で共有する | ・必要な部屋や設備の追加で済むから、増築費用が抑えられる ・工期が短い | ・世帯間の距離感が近く、プライバシーを確保するのが難しい ・生活時間が大幅に違う場合、お互い大きなストレスになってしまう |
完全分離型 | ・2つの世帯が完全に分かれている。 ・玄関から全ての生活空間が世帯別になっている。 | ・各世帯のプライバシーを守りやすい | ・部屋や設備を二世帯分用意しないといけない ・費用が高くなりがち ・住宅面積にある程度余裕が必要 |
部分共有型 | 二世帯でキッチンや浴室など一部分を共有している. | 完全分離型よりも費用を調整しやすい | 共用部分をどこにするかで暮らしやすさが変わる |
どのタイプを選ぶかによって、暮らし方や世帯同士の距離感などが変わってくるため、家族の希望に合わせた増築リフォームを検討しましょう。
また以下の記事では、二世帯住宅の完全分離について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
ポイント②将来的な活用方法
増築リフォームを行う前には、将来の活用方法まで考えておくのがポイントです。将来の家族構成や同居の可能性を考慮し、設備や間取りを考えていきましょう。
一世帯で暮らすこととなった場合には、使わない部分を減築する必要が出てくるかもしれません。また、将来的に孫世帯と同居することを視野に入れ、そのまま残しておく必要が出てくるケースもあります。
さらに、使用しないのであれば売却したり、賃貸物件にしたりなど不動産運用としての活用もできます。このように、将来の活用方法によって、どのプランにするのか変わるため、しっかり考えておくことが大切です。
ポイント③増築にするのか、別棟にするのか
増築にはリフォームする場合と、増築部分をつなげた建て増し、同じ敷地に別の家を建てる別棟の2種類があります。建て増しと別棟のメリット・デメリットは以下の通りです。
そして、建築基準法では一敷地一建物の原則があります。そのため、基本的に同じ敷地内に2つの建物を建てることは難しいことを覚えておきましょう。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
建て増し | 建物代や光熱費などの費用の負担を軽減できる | お互いのプライバシーに配慮しなければいけない |
別棟 | お互いのプライバシーを確保できる | 建て増しと比べて、費用が高い/別棟を建てる土地の広さが必要 |
ただ、住宅を定義する要素であるトイレや浴室・キッチンのない建物であれば、住宅とみなされない可能性があり、別棟増築できます。
建物と見なされるかどうかは行政機関の協議で決められるため、自分で判断せず、事前に別棟を建てられるか確認しておきましょう。
ポイント④二世帯でどこまで共有するのか
二世帯住宅への増築リフォームを検討する際、どこまで共用するのかも考えておきましょう。食事を一緒に取るのか、水回りは共用にするのか、双方のライフスタイルを考慮し、選ぶ必要があります。
食事に関して、ライフスタイルが似ている場合は一緒に食べるスタイルで問題ありません。しかし、起きる時間や帰宅時間が大きく異なる場合は、別々に食事をとるスタイルにし、リビングやダイニングを別にするのがおすすめです。
水回り設備に関しても、人数が多いと設備の数が足りず不便を感じやすいです。不便を感じるとストレスになるため、複数設置することをおすすめします。予算面を考慮して決めてみてください。
二世帯住宅へ増築する際の費用相場
住んでいる地域や工事内容によって変わりますが、一般的な二世帯住宅への増築費用は約1,000万円~1,500万円が相場です。
上記で紹介した二世帯住宅のタイプの中では、完全分離型タイプが必要な設備や居室が多いため費用が高くなる傾向があります。他にも、水回りの増設や新調、大幅な間取り変更が必要な場合も高額になるケースが多いです。
完全共有型の二世帯住宅では、1,000万円以下に抑えられる場合もあります。完全分離型やエコキュートのように太陽光パネルを設置するなど、設備にこだわると相場や予算を上回ります。
増築リフォームの費用は、施工範囲や設備、資材のグレードなどによって変わってくるため、予算に合わせて計画を立てていきましょう。
二世帯住宅のリフォーム事例3選
ここでは、二世帯住宅のリフォーム事例を以下3つ紹介します。
以下で、画像と共に紹介していくので、これから増築リフォームを行う際の参考にしてみてください。
事例①【2,824万円/築23年/埼玉県】
項目 | 詳細 |
---|---|
築年数 | 23年 |
間取り | 3LDK→2LDK |
リフォーム箇所 | リビング・ダイニング、キッチン、洗面所、浴室・バス、トイレ、寝室、和室、収納、玄関、エクステリア |
工期 | 3カ月 |
施工費用 | 2,824万円 |
こちらは緑豊かな庭を楽しむ開放的なLDKが魅力的な住まいです。うちとそとを行き来する新しい生活スタイルが実現しました。
もともと二世帯住宅の2階部分に住んでいたところ、1階部分が空き、生活の場を移そうとリフォームを行いました。リビング側の壁には調湿機能を備えたエコカラットがアクセントになっています。
空間の大きさに負けないよう、大判のデザインがセレクトされていたり、格子の奥にはワークスペースとしても使えるカウンターが設置されています。
事例②【1,089万円/築18年/千葉県】
項目 | 詳細 |
---|---|
築年数 | 18年 |
リフォーム箇所 | LDK |
施工費用 | 1,089万円 |
こちらの住まいは、手狭に感じていたリビングにアイランドキッチンを設置し、リビング空間を広げて、テラスを新設しました。他にも、水回りの設備を一新しています。
勉強やくつろぎのスペースとして多目的に使えるよう、小上がりの畳コーナーも設置しています。空間に合わせてタイルやフローリング、畳を使い分け、機能性が追求されているのもポイントです。
アイランドキッチンを中心に一体感のある空間が生まれ、家族がお互いを身近に感じながら、それぞれの時間を過ごせる豊かな生活空間へと仕上がっています。
事例③【1,850万円/築32年/千葉県】
項目 | 詳細 |
---|---|
築年数 | 32年 |
リフォーム箇所 | 家全体 |
施工費用 | 1,850万円 |
こちらの住まいは、貸店舗だった1階が空いたのを機に、両親との同居を決め、高齢の両親が暮らしやすいバリアフリーの二世帯住宅へリフォームしました。家全体が細かく仕切られ、廊下の幅の狭さやお風呂場の段差にも不便を感じていたため、そちらの改善も行われています。
廊下や開口部を広く取って開閉しやすい引戸を採用するなど、これからの生活に配慮しながらも、モダンな美しさと機能性が備えられているのがポイントです。そして、随所にご夫婦の好きなアジアンテイストを取り入れ、暮らしの豊かさも追求されています。
二世帯住宅へリフォームする際に利用できる補助金・減税制度
二世帯住宅へ増築リフォームを行う場合、補助金や減税制度が利用できる場合があります。実際に利用できる制度を以下3つピックアップしました。
下記で詳しく解説していくので、利用する際の参考にしてみてください。
①同居対応リフォームの投資型減税
要件を満たした同居対応リフォームを実施した場合に控除対象限度額を上限とし、10%、控除対象限度額を超える分は5%の控除を受けられます。控除された額は所得税から控除されます。
控除対象限度額は250万円と、限度額超過分の250万円、最大控除額は62.5万円です。主な条件としては、キッチンや浴室、トイレの増設、玄関の増設のいずれかに該当していることです。その他の適用条件は以下5つです。
- 本人が所有かつ居住する住居であること
- 工事完了から6カ月以内に居住すること
- 床面積が50㎡以上であること
- 合計所得額が3,000万円以下であること
- 店舗など併用住宅の場合、床面積の2分の1が居住用であること
適用条件は上記の通りで、住宅ローン減税との併用はできないため注意してください。詳しくはこちらのページに記載されています。
②長期優良住宅化リフォーム推進事業
既存住宅の長寿命化や省エネ化などに寄与する一定要件のリフォームに対して受けられる補助金制度です。限度額は100万円で、長期優良住宅認定を取得する場合は、200万円の補助金が受けられます。
補助金を利用する場合は以下3つの対象リフォームを満たしておくことが必要です。
- インスペクションを実施し、維持保全計画・履歴を作成する
- 公示後に耐震性と劣化対策が確保されている
- 日常的に使用する居室などの部分が省エネルギー性、バリアフリー性などいずれかの基準を満たす
屋根の軽量化やシロアリ対策など、住宅性能を向上するリフォームの工事費が補助の対象です。制度を利用する場合は、工事前のインスペクションや性能基準を満たした工事が必要です。
住宅の長寿命化のためのリフォーム工事を行い、更に三世代同居工事を併せて実施すると50万円が加算されます。詳しくはこちらに記載されています。
③住宅エコリフォーム推進事業
住宅エコリフォーム推進事業は、省エネ性能を高めるリフォーム工事に対する補助金制度です。ZEHレベルに向上する省エネ改修工事や省エネ改修とあわせて行う構造補強工事が対象です。
省エネ設計費・省エネ改修工事費の40%が補助されます。補助限度額は1戸35万円が上限です。詳しくはこちらに記載されています。
二世帯住宅へ増築する際の4つの注意点
二世帯住宅へ増築リフォームする際の注意点は以下4つです。
上記注意点を知っておくことで、後悔を未然に防げ、安心して増築リフォームを進められます。下記で詳しく解説していくので、参考にしてみてください。
注意点①建ぺい率や容積率などの法規制
建ぺい率は、土地の面積に対し、建物が建てられる建築面積の割合のことです。既存住宅が限界の建ぺい率の面積で建っている場合、敷地に余裕があっても建物面積を広げることはできません。
容積率は、土地の面積に対する建物の総面積の割合のことです。総面積なので、2階や3階、地下も含めたすべての建物の面積を指します。建ぺい率が規制の範囲内でも、容積率がオーバーしてしまうケースもあるため注意が必要です。
建ぺい率と容積率は住んでいる地域によって上限が異なります。自己判断せず、相談しながらプラン作成を進めましょう。
注意点②建築確認申請が必要かどうか
建築確認申請とは、建築物が法律や条例に違反していないかを確認するものです。建築確認は、「10㎡以上の増築」もしくは「防火・準防火地域で増築を行う」場合に必要です。
建築確認する際は、既存建物部分の「検査済証」を提出しないといけません。「検査済証」がない場合、既存建物に対し調査を行い、建築時に合法に建てられた建物であることを示すことが必要です。
既存部分が現行の建築基準法に合致していない「既存不適格物件」であった場合でも、すぐに現行基準に合わせる必要はありません。新築時に適法で建てられ、かつ一定の条件を満たしていることが証明できれば、既存不適格のまま増築工事ができます。
ただ、建築時の建築基準法に合致していない場合は、違反部分を修正してからでないと増築できないので注意が必要です。
注意点③登記方法が支払う税金に影響する
二世帯住宅への増築リフォームは、二世帯住宅のタイプによって登記方法が異なります。登記方法には単独登記、共有登記、区分登記があります。
「完全分離型」はどれでも選べますが、「部分共有型・完全共有型」タイプは単独登記か共有登記のどちらかしか選べず、区分登記はできません。
項目 | 登記内容の説明 | 適用できるタイプ | 住宅ローン減税 | 小規模住宅等の特例 |
---|---|---|---|---|
単独登記 | 親世帯・子世帯のうち、どちらか一方の単独所有として登記 | ・完全分離型 ・部分共有型 ・完全共有型 | 家を所有する単独世帯のみ適用 | 「親の単独登記」の場合のみ適用 |
共有登記 | 親世帯・子世帯が出資割合に応じて共有名義で登記 | ・完全分離型 ・部分共有型 ・完全共有型 | 親世帯・子世帯それぞれ適用 | 適用 |
区分登記 | 二世帯住宅を二戸の住宅として、親世帯・子世帯が個別に登記 | 完全分離型 | 親世帯・子世帯それぞれ適用 | 適用されない ※税金の優遇措置が適用されるためには、上記以外にもたくさんの要件があります。 |
登記方法によってローンの組み方や受けられる税金の軽減措置も変わります。どの登記方法が良いのかは各家庭の状況によって異なるため、分からない場合は税理士などの専門家に相談してみてください。
注意点④ローンの担保
増築リフォームでローンを組む際、土地や増築リフォーム予定の家すべてを担保にしないといけません。なぜなら、仮にローンの返済ができず、銀行が債権回収のために担保を処分するとなっても、増築リフォームした部分だけでは新しい買い手が見つからないからです。
他にも、増築リフォームした時点で住宅ローンが残っている場合は、すでにローンを組んでいる銀行以外でローンを組めないので注意が必要です。
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二世帯住宅を増築するなら、リノベーションハイムにおまかせください。リノベーションハイムには豊富な実績があり、二世帯住宅の増築リフォームも数多く手掛けてきました。
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まとめ
本記事では、二世帯住宅の増築リフォームに関して、考えるべき4つのポイントや費用相場、参考例、利用できる補助金・減税制度について解説しました。リフォームは高額であるため、現在だけでなく、将来のことも考えて行う必要があります。
他にも、どこまで共用するのか、増築と別棟はどちらの方が良いのかなど考えることが多いです。自分たちだけでは分からないという方は、リノベーションハイムに気軽に相談してみてください。二世帯住宅のリフォームでは補助金や減税制度が利用でき、詳細は本記事で紹介しています。
本記事があなたのお役に立てることを願っております。