既存不適格建築物は改修・リフォームできる?改修時の注意点まで紹介

「既存不適格建築物の改修・リフォームはできる?」
「既存不適格建築物の判断方法は?」

既存不適格建築物はどうやって判断されるのか、改修・リフォームができるのかなど疑問に思っている方も多いでしょう。既存不適格建築物は、法改正によって現行の基準に適合しなくなっただけであり、違法建築ではありません。

そのため、改修工事は可能です。しかし、建築確認申請が必要な場合や基準が緩和される場合があるなど、知識を深めておかないと後悔してしまう恐れがあります。

そこで、本記事では既存不適格建築物の改修・リフォームに関して詳しく解説します。あわせて、改修工事の種類や注意点なども紹介するので、参考にしてみてください。

なお、そもそも既存不適格建築物について詳しく知りたいという方は、以下の記事を参考にしてください。

目次

既存不適格建築物とは

既存不適格建築物とは、建築当時は法令の基準に適合していたものの、その後法改正などにより不適格な部分が生じた建築物のことです。

建築基準法3条2項では、建築基準法および施工令などが施工された時点において既存の建築物や工事中の建築物などに不適合な部分があっても、違法建築としない特例が設けられています。

この特例によって、既存不適格建築物は建築当時の基準には適合していることで、違反建築物ではないとみなされます。したがって、増築や用途変更、大規模修繕、大規模模様替えを新たに行わない限り、現状維持でも問題はありません。

既存不適格建築物を調べる方法

建築物は、現行の基準に適合していない部分を把握して改修設計をしないと、不適合や違反建築物となってしまうため注意が必要です。

既存部分で不適合な部分は、図面や現地調査などで確認できます。法第12条の定期報告の義務が課されている建築物であれば、過去の定期報告書を参考に確認可能です。

また、大規模修繕では基本的に壁や柱、床、梁、屋根、階段など、主要構造部とされている部分の1つ以上を過半数に渡り改修する場合に建築確認申請が必要です。

建築確認申請とは、新築や増改築などをする前に都道府県や市などに必要書類を提出し、設計が現行の基準を満たしているか、都道府県や市の建築主や指定確認検査機関による確認を受けることを指します。

建築確認を申請する際は、自治体や確認審査機関が提供している既存不適格のチェックリストを確認してみてください。

既存不適格建築物はリフォームできるのか

既存不適格建築物は現行の基準に適合していないため、「リフォームできないのでは?」と思う方もいるでしょう。

結論から言うと、既存不適格建築物はリフォームできます。ただし、リフォームする際に気を付けるべき点がいくつかあるので、下記で詳しく解説していきます。

既存不適格建築物は是正命令が下される場合がある

既存不適格建築物は基本的に是正命令は下りませんが、以下のような場合、是正命令が下される恐れがあります。

  • 大規模な増改築や修繕を行う場合
  • 老朽化が著しく、倒壊する危険性が高い場合
  • 周りに被害を出す恐れが高い場合

是正命令とは『規準に適合していない部分を改めなさい』という命令です。既存不適格建築物は違法ではないため、新たに増改築などをしなければ、基本的に是正命令は下りません。

ただし、特定行政庁が著しく保安上危険、もしくは衛生上有害であると認める場合、必要な撤去や使用禁止などの措置を取るように命令できるという例外もあります。

是正命令に従わない場合、建築基準法第98条により、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる場合があるので注意してください。

既存不適格建築物は基準が緩和される場合がある

建築確認申請の必要な増改築を行う場合、原則的に既存部分を現行の基準に適合させることが必要です。しかし、中には、基準が緩和されるものもあります。

緩和されると不適合な部分がある状態のまま、一定の範囲で増改築や大規模修繕が認められます。

木造平屋建ての住宅や木造2階建て延べ面積500㎡未満などの建築物の場合、以下の条件を満たしているかつ、既存部分が耐震改修法に基づく耐震診断基準に適合していることが証明できれば問題ありません。

  • 既存部分と増築部分を構造的に分離している
  • 増築する面積が既存部分の床面積の半分以下

ただし、増改築部分に関して、現行の基準に適合させることが条件なので注意してください。

また、増築する面積が既存部分の床面積の20分の1かつ50㎡以下で、増築することで全体の振動などへの抵抗力が下がる恐れがない場合も現行基準の適用が緩和されます。

既存不適格建築物は耐震補強すべき

200年5月31日以前に建築確認を受け、現状2000年基準に適合していない建物は既存不適格建築物に該当する恐れがあります。日本は地震が多い国であり、大きな地震が起きる可能性があります。

そのため、新耐震基準より古い建物で、一定規模の建築物に関しては耐震診断が義務化されています。住宅は耐震診断が義務化されていませんが、災害に備えて耐震補強工事やリフォームを自由に行えるのか、以下で詳しく解説していきます。

耐震補強工事の種類

耐震補強工事は、施工方法や使用する部材によって種類が異なり、施工する方法は以下3種類に分けられます。

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部位材料
内部の壁や外壁の内側から行う木材、鉄筋、金物
外壁をはがして行う木材、合板、鉄筋、金物
外壁をはがさず外側から行う鉄筋、鉄骨

施工のしやすさや施工後の耐震性能の確実性などを検討し、予算に合った方法を選びましょう。

建築確認申請が必要な耐震補強工事

耐震補強工事は、建築確認申請が必要なものとそうでないものがあります。建築基準法で『大規模な修繕や模様替え』に含まれている工事は建築確認申請が必要で、自由に工事は行えません。

大規模工事には、外壁をはがし柱を交換したりする工事などが該当します。ただし、大規模工事でも、2階建てや平屋の木造住宅のような4号物件は建築確認申請が不要です。

大規模な修繕や模様替えに該当する耐震補強工事を行う場合、建築確認申請が必要な物件は以下の条件に当てはまるものです。

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物件の種類内容
1号木造の店舗や共同住宅等用途が特殊建築物で、床面積の合計が200㎡を超える建物
2号木建物で3階建て以上、または延床面積が500㎡超え、高さが13m超または軒高が9mの建物
3号木造以外の建物で2階建て以上、または延床面積が200㎡超の建物

上記に該当する物件で耐震補強をするために建築確認が必要な改修工事を行うと、既存部分の是正も必要となり、メインの耐震補強がスムーズに進まないので注意しましょう。

建築確認が不要な耐震補強工事で問題ないという方は、下記で建築確認申請が不要な耐震補強工事について解説していくので、参考にしてみてください。

建築確認申請が不要な耐震補強工事

耐震補強工事には、建築確認申請が不要なものもあります。建築基準法における大規模な修繕や模様替えに当てはまらない、以下のような補強工事の場合は建築確認申請は不要です。

  • 補強範囲が主要構造部の2分の1以下
  • 金属板などを柱や梁に巻くだけの補強工事

主要構造部とは、防火上の観点から主要とされる壁や柱、床、梁、屋根、階段を指します。基礎や間仕切り、屋外階段は主要構造部に該当しません。

既存不適格建築物の耐震補強工事をスムーズに行いたい方は、上記のような方法を検討してみてください。

建築確認申請が必要なリフォーム

耐震補強工事でも述べましたが、改修工事でも建築確認申請の有無は工事内容によって異なります。改修工事も同様、以下の内容に当てはまる場合は建築確認申請が必要です。

  • 鉄骨2階建て住宅や木造3階建て住宅などの4号建築物以外
  • 主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の1つ以上を2分の1以上にわたり修繕・模様替えする大規模修繕や模様替え

既存不適格建築物の改修工事で建築確認申請が必要なのは外壁リフォームと屋根の葺き替えの2つです。下記で詳しく解説していくので、既存不適格建築物の改修を検討している方はチェックしてみてください。

外壁のリフォーム

2階建てや平屋の木造建築物である4号建築物以外で、外壁仕様の変更を伴う、外壁の2分の1を超える張り替えを行う場合、建築確認申請が必要です。

ただし、外壁が吹き付け塗装で塗り替える程度の工事などは建築確認申請が不要です。

外壁がタイル張りのものをサイディングに張り替えたりする場合は、大規模修繕工事に該当するため、建築確認申請を行う必要があります。

屋根の葺き替えリフォーム

4号建築物以外の建物で、屋根の2分の1を超える部分の葺き替えを行う場合、建築確認申請が必要です。

外壁や屋根以外にも、2階建て以上の鉄骨造住宅や木造3階建て住宅で主要構造部の2分1を超える面積をリフォームする場合は、建築確認申請が必要なので注意してください。

既存不適格建築物をリフォームする際の注意点

既存不適格建築物の改修工事をする際は以下2つの点に注意してください。

下記で詳しく解説していきます。

①建築確認申請が必要な場合は現行の基準を満たす工事が必要

既存不適格建築物でも、内装交換や設備の入れ替えなどの軽いリフォームであれば、現行の基準に沿う必要はありません。建ぺい率や容積率の基準を超える増築部分がある場合も、そのままで利用できます。

しかし、主要構造部を2分の1以上解体する工事の場合は建築確認申請が必要となり、現行基準に適合させるための改修工事が必要です。

容積率や建ぺい率がオーバーしている場合は建物の一部を壊す場合もあるので、施工会社と相談しながら改修内容を決めましょう。

②ローンの審査が通りにくい

既存不適格建築物は、書類上、資産価値が低いと判断されやすい傾向があります。そのため、建物の資産価値が担保価値として判断される住宅ローンでは、審査が厳しくなることも珍しくありません。

ネット銀行やメガバンクなどは書類情報だけで審査を行います。そのため、審査に落ちてしまったり、希望額が借りれない恐れがあります。

改修工事で住宅ローンの利用を検討している方は要注意です。しかし、既存不適格建築物でも改修工事で現行の基準に適合する工事を行う旨を説明すると、融資してくれる金融機関もあります。

利用する際は、審査方法や条件に着目してみてください。

既存不適格建築物のリフォームはリノベーションハイムにおまかせください

既存不適格建築物を改修する際は、リノベーションハイムにお任せください。リノベーションハイムは過去に豊富なリフォーム実績があり、既存不適格建築物の改修工事も数多く手掛けています。

既存不適格建築物の改修工事は、建築確認申請の有無によって内容が大幅に変わります。建築物によって基準が緩和される場合もあるため、専門的な知識が必要です。

リノベーションハイムのスタッフは、予算や要望に合わせたプランを提案し、丁寧にサポートします。現在、無料相談も実施しているので、興味のある方はぜひ一度お問い合わせください。

まとめ

本記事では、既存不適格建築物の改修工事に関して、詳しく解説しました。既存不適格建築物の改修工事には建築確認申請が必要なものとそうでないものがあります。

建築確認申請が必要な場合、既存部分を現行の基準に適合させたうえで改修工事を行うため、工事期間が長い傾向があります。それらも考慮し、どんな改修工事を行うのか計画してみてください。

本記事があなたのお役に立てることを願っております。

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