「既存不適格建築物って違法なの?」
「既存不適格建築物はどう対処すべき?」
既存不適格建築物という言葉を聞きなれない方も多いでしょう。実は既存不適格建築物に該当する建物は意外と多く、築30年以上のものは該当している場合が多くあります。
既存不適格建築物とは、所有している建物が建築時は現行の基準に適合していたものの、法改正によって適合しなくなった建物を指します。既存不適格建築物かどうかの判断には専門的な知識が必要であるため素人には困難です。
しかし、既存不適格建築物は資産価値の低下や是正命令が下される恐れがあります。
そこで本記事では、既存不適格建築物について詳しく解説していきます。あわせて、既存不適格建築物の改善方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
既存不適格建築物とは
文部科学省では、既存不適格建築物は以下のように定められています。
既存の適法な建築物が法令の改正等により違反建築物とならないよう、新たな規定の施工時又は都市計画変更等による新たな規定の適用時に現に存ずる又は工事中の建築物については、新に施工又は適用された規定のうち適合していないものについては適用を除外することとし、原則として、増改築等を実施する機会に当該規定に適合させることとしている
引用:文部科学省『建築不適格建築物について』
つまり、既存不適格建築物とは建築当初は適法だったものの、改正によって現行の建築基準に合致しなくなった建物のことです。これは時間の経過や建築基準の変更に伴い、建物が現行の安全性や規制に合致しなくなった場合に見られます。
しかし、改正される度に、現行に沿った建物に改修しないといけない訳ではありません。したがって、改正前の基準のまま建物を利用できるのです。
ただし、建て替えや一定範囲以上の増改築、大規模修繕などを行う場合、不適格部分を現行の建築基準法に適合する改修が必要となります。
既存不適格建築物となる理由
既存不適格建築物となる理由には、以下3つあります。
- 耐震基準
- 建築物の高さ
- 建ぺい率・容積率
耐震基準とは、建築物などを設計する際に最低限度の耐震能力を持っている構造物であるかを保証し、建築許可を行う基準です。
大きな地震が発生すると、耐震基準に関する建築基準法が改正されており、1981年6月1日に大幅な改正が行われています。この日以前に建てられた旧耐震基準の建物は、既存不適格建築物である可能性が高いので注意しましょう。
また、建物には建ぺい率や容積率、高さの基準が定められています。この高さ制限を超えている場合、既存不適格建築物に該当します。これらが既存不適格建築物となる要因です。
違法建築物との違い
既存不適格建築物を調べると「違法建築物」という言葉を目にした方もいるでしょう。
違法建築物とは、建築基準法や条例に違反して建てられた建築物のことです。違反建築物とも言われます。建築許可を取得せず建物を建てたり、土地利用規制を無視したことによって発生します。
既存不適格建築物は法改正され現行の基準に適合しなくなった建物、違法建築物は建築基準法や条例を違反している建物という点が違います。
既存不適格建築物と違法建築物の2つの共通点
既存不適格建築物と違法建築物は違いますが、共通点もあります。ここでは共通点について詳しく解説していきます。
①不動産価値
既存不適格建築物や違法建築物は、現行の建築基準法に適していないという点が共通です。そのため、購入者や入居者はこれらの問題を懸念し、価格交渉や契約条件にマイナスの影響を及ぼしてしまいます。
また、所有し続ける場合も資産価値が下がってしまうため、不動産価値が下がらないよう現行の基準に合致させる改修が必要です。
②建物の安全性
既存不適格建築物と違法建築物は、どちらの建物にも安全性が懸念されやすいという点が共通しています。
なぜなら、既存不適格建築物は設備や構造が古く、違法建築物は建築基準法や条例に違反して建てられているからです。建物の安全性を高める改修工事を行うと、安心して暮らせます。
既存不適格建築物が抱える3つのリスク
既存不適格建築物は以下3つのリスクを抱えています。
下記で詳しく解説していくので、これらのリスクを把握し、改善しましょう。
①耐震性の不足
旧耐震基準で建てられていて新耐震基準を満たさない場合、安全面が懸念されます。なぜなら、耐震基準は1981年の法改正によって大きく変わっているからです。
旧耐震基準の建築物は違法ではありませんが、大きな地震が発生した場合、倒壊するリスクが高く注意が必要です。新耐震基準に適合させるために、耐震補強などのリフォームを行うと良いでしょう。
②資産価値の低下
既存不適格建築物は、市場価値が低下しやすく、資産価値が低くなる傾向があります。自由に建て替えやリフォームができないため、売るとなった場合も買主探しに苦労してしまうでしょう。
資産価値は、建物を改善することで回復できる可能性があります。資産価値を回復させたい場合は、修繕工事を行いましょう。
③建て替えできない恐れがある
既存不適格建築物は、同じ建物を建て替えられません。なぜなら、合法的に建てられてはいるものの、現行の基準を満たしている訳ではないからです。
内装工事や設備の入れ替えなどの軽微なリフォームであれば、現行の基準に沿って工事する必要はありません。また、建ぺい率や容積率の基準を超える増築部分も手を加えず、そのままで良いケースもあります。
しかし、新築に建て替えようとすると、現行の法律に適合させる必要があります。現行の基準に適合させようとすると、建物規模が小さくなってしまったり、形状が変わってしまう恐れがあるため注意が必要です。
既存不適格建築物の建て替えやリフォームの改善ポイント
既存不適格建築物の建て替えやリフォームで改善すべき点は以下3つあります。
下記で詳しく解説していくので、既存不適格建築物の修繕を検討している方は参考にしてみてください。
①耐震性の強化
耐震性に不安がある場合には耐震補強工事を行い、建物の安全性を向上させましょう。
耐震性を強化する工事は「外壁の内部から行う方法」や「外壁をはがして行う方法」「外壁をはがさず外側から行う方法」などがあります。
耐震性を向上させる工事は、構造躯体に関わる補強工事となるため、大規模な工事になる可能性があります。
②法的問題を解決する
原則、不動産所有者や施主は法的要件を遵守しなければいけません。既存不適格建築物の法的問題を解決するには、地方自治体や関係のある法的機関と連携し、適切な法的手続きを進めましょう。
建物を現行の基準に適合させるための手順を確認し、必要な書類や許可を得ることで解決できます。適合させるためには、土地利用許可の取得や建物の改修、法的アドバイスを受ける費用など、多額の費用が必要となります。
③定期的なメンテナンスや点検
定期的にメンテナンスや点検を行うことで、既存不適格建築物の問題を早期発見できます。これは、建物の修復や改修の必要性を判断するために重要です。
プロによる点検やメンテナンスを通じて、建物の構造や安全性に対するリスクを特定でき、解決するための策を施せます。
なお、既存不適格建築物のリフォーム・改修については次の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
既存不適格建築物のリフォームはリノベーションハイムにおまかせください
既存不適格建築物をリフォームする際は、リノベーションハイムにお任せください。リノベーションハイムは、過去に豊富なリフォーム実績があり、既存不適格建築物の改修も数多く手掛けています。
既存不適格建築物は、現行の基準に適合させるリフォームを行う必要があるため、プロからの修繕アドバイスが必須です。リノベーションハイムでは要望や予算を考慮しながら、現行の基準に適合するようなプランを提案しています。
現在、無料相談も実施しているので、興味のある方はぜひ一度お問い合わせください。
まとめ
本記事では、既存不適格建築物について詳しく解説しました。既存不適格建築物は建物建築時に基準や条例に適合していたものの、法改正により現行の基準や条例に適合しなくなった建物を指します。
既存不適格建築物のリフォームは、法的問題の解決や耐震補強工事など専門的な知識が必要です。そのため、施工会社から専門的なアドバイスを受け、リフォームプランを立てることが重要です。
本記事があなたのお役に立てることを願っております。