
玄関のバリアフリーリフォームって何をすればいいの?
そこまで玄関が広くないけどできるかしら…
玄関のバリアフリーリフォームをしたいものの、何をどうすればいいのかわからない方もいるでしょう。玄関をバリアフリー化する際は、外と中のどちらとも対策することが大切です。
ただし、外と中のどちらもバリアフリーにするとなると、具体的に何をすべきなのか選択肢が多くて決めきれないはずです。玄関の内側ばかりに目を向けていると玄関の外側での対策が不十分になり、危険な場合もあります。
そこで、本記事では玄関のバリアフリーリフォーム方法を、屋外と屋内別に紹介します。あわせて、玄関のバリアフリーリフォームにかかる費用や体験談、成功させるポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
なお、そもそもバリアフリーリフォームとは何かを知りたい方は次の記事をご覧ください。


玄関のバリアフリーリフォームにより外出しやすい環境を整えられる


玄関のバリアフリーリフォームをすれば、外出しやすい環境を整えられます。玄関は段差が多い場所であり、立ち座りに不安があると外出がしづらくなるのです。
年齢を重ねて外出機会が減ると、体力の衰えや認知機能の低下、社会的孤立などが起こります。運動機能の維持と社会とのつながりを継続するためにも、玄関を安心・安全に使えるようバリアフリーリフォームをするのが賢明です。
そこで、次の見出しでは屋内外別におすすめな玄関のバリアフリーリフォームを紹介します。
【屋内編】玄関のおすすめバリアフリーリフォーム5選


ここからは、屋内の玄関のおすすめなバリアフリーリフォームを、5つ紹介します。
手すりを設置する


玄関内のバリアフリーリフォームでは、手すりの設置がおすすめです。手すりを設置すれば、転倒を防いで移動が楽になります。玄関に設置する手すりには、次の2種類があります。
手すりの種類 | 設置場所 | 特徴 |
---|---|---|
縦手すり | 上がり框(※)の段差付近の壁に設置する | 転倒防止と立ち座りをサポートできる |
横手すり | 上がり框から玄関ドアまでの通路に設置する | 玄関ドアまでの移動が楽になる |
身体状況にあわせて、縦手すりや横手すりの設置を決めるのが賢明です。加えて、設置の高さは使用者が使いやすい場所に決めましょう。
スロープを設置する


玄関内のおすすめなバリアフリーリフォームに、スロープの設置があります。スロープを設置すれば、足が上がりづらい場合や車椅子のときに有効です。
玄関内では、上がり框の段差解消にスロープを設置します。スロープの設置には十分な幅とスペースが必要です。スロープの種類には、アルミスロープやケアスロープなどがあります。
玄関内のスペースや形状により適したものを選ぶのがおすすめです。加えて、小さく折りたためるスロープもあるため、置き場所なども考慮して選ぶといいでしょう。
床材を変える


床材を変えることも、玄関内のバリアフリーリフォームではおすすめです。床材を変えると、つまづきや転倒防止になります。玄関におすすめな床材は、次の3種類です。
- 滑りづらい床材
- 凹凸のある床材
- クッション性のある床材
床材の交換では、既存の床材の上に重ねる「重ね張り工法」と既存の床を解体して新規に施行する「はつり工法」があります。
施工方法は、リフォーム会社と相談して決めるのが賢明です。玄関の床材を交換により、転倒防止やケガのリスクを軽減できるため、不安を抱える場合には検討しましょう。
踏み台をつくる


玄関内のバリアフリーリフォームでは、踏み台をつくることもおすすめです。踏み台を作ると、上がり框の段差が少なくなり昇降が楽になります。
踏み台の設置は、上がり框が高い場合に有効です。段差が大きいと、大きく足を上げなければなりません。思うように足が上がらなければ、転倒やケガにつながります。
踏み台には中が空洞のタイプがあり、靴がしまえるものもあります。上がり框の長さと高さを把握し、昇降が楽になる高さを検討するのが賢明です。
固定しやすいベンチを設置する


固定しやすいベンチの設置も、玄関内のおすすめなバリアフリーリフォームの1つです。固定しやすいベンチを設置すると、立ち座りをサポートできます。
固定しやすいベンチとは、壁や床に固定された玄関用の椅子です。上がり框が高い場合や昇降に不安がある際には、ベンチに座ればバランスを崩すことなく玄関の出入りができます。
また、ベンチには手すり付きのものもあるため、立ち上がりにも安心感があるのです。ベンチは壁や床に完全に固定されて頑丈であるものの、設置に工事が必要なことを覚えておきましょう。
【屋外編】玄関のおすすめバリアフリーリフォーム4選


ここからは、屋外の玄関のおすすめなバリアフリーリフォームを、4つ紹介します。
手すりを設置する


玄関の外でおすすめなバリアフリーリフォームの1つは、手すりの設置です。玄関ドアまでの段差に手すりを設置すれば、昇降のサポートになります。
玄関前にあるスペースを玄関ポーチといい、玄関ポーチに上がるまでに2〜3段ほど階段がある家もあります。
玄関ポーチの段差は、雨水や汚れの侵入防止などのために設置されており、重要なものです。玄関の段差を無くし道路と同程度の高さにすることは、現実的ではありません。
そこで、昇降に不安がある場合には階段や玄関ポーチに沿って手すりを設置することをおすすめします。
スロープを設置する


スロープの設置も、玄関の外でおすすめなバリアフリーリフォームの1つです。玄関の外にスロープを設置すれば、玄関ドアまで段差が多い家や車椅子の場合に安全に通れます。
スロープの設置は、アルミスロープやケアスロープなどを置く方法とリフォームによりスロープを作る方法の2種類です。リフォームにより玄関にスロープを作る場合には、次のことを考慮して検討しましょう。
スロープの傾斜角度 | 特徴 |
---|---|
約7度(建築基準法) | 介助者が車椅子を押すと上り下りできる目安 |
約4度(バリアフリー法) | 車椅子利用者が自力で上り下りできる目安 |
車椅子の場合は介助者の有無を検討し、スロープの勾配を決めるのが賢明です。
据え置き型段差解消機を設置する


玄関の外では、据え置き型段差解消機の設置もおすすめなバリアフリーリフォーム方法です。据え置き型段差解消機を設置すると、段差の昇降を安全に行えます。
据え置き型段差解消機とは、工事が不要で設置可能な玄関の段差を乗り越える機械のことです。車椅子の利用者や足が不自由な方に有効な機械であるものの、設置するスペースの確保が欠かせません。
据え置き型段差解消機には、リモコンで昇降できるものや足元のぺダルで操作可能なものもあります。利用者の身体状況や設置スペースを考慮して、機種を選ぶのが賢明です。
玄関ドアを交換する


玄関の外におすすめなバリアフリーリフォームに、玄関ドアの交換があります。玄関ドアを交換すると、少しの力で開けられるとともに風の影響で自然に閉まりづらくなるのです。
たとえば、玄関のドアを開き戸から引き戸へ交換すれば、玄関ドアを押す力や引く力が必要なくなります。玄関ドアは重いものが多く、開き戸の場合には雨や強風で開けづらいこともあるのです。
引き戸なら、傘を持ちながらでも軽い力でドアを横にスライドできるため、安心感があります。
バリアフリーリフォームに活用できるドアの種類
玄関ドアの交換を検討する前に、使い方次第では既存の玄関ドアのままバリアフリー化が可能な場合があります。そこで、バリアフリーリフォームに活用できるドアの種類を、4つ紹介します。
両開きドア


両開きドアは、バリアフリーリフォームに活用できる玄関ドアの種類の1つです。両開きドアなら、開口部が大きく通行幅を確保できる可能性が高まります。
両開きドアとは、左右2枚のドアが中央から開くタイプの開き戸です。多くの場合は左右どちらかのドアのみ開閉を行い、玄関を通ります。
片側のドアのみの開閉では、開口幅が小さく車椅子が通れません。ただし、双方のドアを開けば車椅子が通れるほどの広さを確保できる場合もあるのです。
両開きドアなら、玄関ドアの交換をせずとも十分な開口幅を得られる可能性があります。
両袖ドア


バリアフリーリフォームに活用できる玄関ドアには、両袖ドアもあります。両袖ドアなら、ドア幅が大きく、ドア交換のみで大きい開口部を確保できます。
両袖ドアとは、開閉するドアの両端に採光などの目的で設けられたガラス面があるドアです。両袖にあるガラス面は開閉できないものの、ドア全体は大きい特徴があります。
もし、両袖ドアが80㎝程度の車椅子幅を確保できなくても、ドア交換をすれば開口部を大きくできるのです。ドア本体のみの交換なら、費用を抑えられるため検討しましょう。
袖付きドア


袖付きドアも、バリアフリーリフォームに活用できる玄関ドアの種類の1つです。袖付きドアは開口部を大きくできます。
袖付きドアとは、開閉するドアの片側に固定された袖があるドアです。固定されたドアは開閉可能であり、双方のドアを開けると大きな開口部を確保できます。
車椅子の幅80㎝程度の開口幅を確保するなら、袖部分と開閉ドアの双方を開きましょう。双方のドアを開けば、80㎝以上の幅を確保できる可能性が高いです。
引き戸


引き戸も、バリアフリーリフォームに活用できるドアです。引き戸なら開閉の動作が楽であり、車椅子でも通りやすい特徴があります。
同サイズの玄関ドアでは、開き戸より引き戸の方が開口幅を広く確保できるのです。開き戸の場合は、ドアの厚み分の開口幅が減るものの、引き戸は横へスライドさせるため開口部を広く使えます。
ただし、開き戸で横にスライドしづらい場合やドアが重たい場合には、ドア交換を検討するのが賢明です。
玄関のバリアフリーリフォームにかかる費用
屋内の玄関バリアフリーリフォームにかかる費用は、次のとおりです。
バリアフリーリフォームの種類 | 費用相場 |
---|---|
手すりの設置 | I型:1~2万円程度 L型:2~3万円程度 |
スロープの設置 | アルミスロープ:3~5万円程度 ケアスロープ:6~12万円程度 |
床材の交換 | 重ね張り工法:5~15万円程度 新規施工:10~25万円程度 |
踏み台の設置 | 1~3万円程度 |
ベンチの設置 | 4~8万円程度 |
一方で、屋外の玄関バリアフリーリフォームでは、次のような費用がかかります。
バリアフリーリフォームの種類 | 費用相場 |
---|---|
手すりの設置 | 5~15万円程度 |
スロープの設置 | 5~50万円程度 |
据え置き型段差解消機の設置 | 80~150万円程度 |
玄関ドアの交換 | 20~60万円程度 |
玄関の広さや大きさ次第で施工面積が変わるため、かかる費用に幅があります。より詳細な費用を知りたい方は、リフォーム会社へ見積もりを依頼しましょう。
玄関のバリアフリーリフォーム実施者の体験談


ここからは、玄関のバリアフリーリフォーム実施者の体験談を紹介します。
せっかく手すりをつけたのに…!
高齢の父のため門扉から玄関まで手すりをつけました
(介護リフォーム補助金を利用してかなりお安く)
歩きやすくなったぁ~ というのは束の間
あれれ??
手すり前にモノを色々置き始めた
ん❓ バリアフリーって……
まずは足元をクリアーにすることですね
不用品の片づけもいっしょにやった方がいいのかも?
引用:X
オカンが無事に退院してからつくづく一部とはいえバリアフリーにしといて良かったと、ホントに良かったと思う。
玄関前、水回りだけでもリフォームしましょう。
骨折した年寄にはたった2センチの段差も危険です。
引用:X
一時期自宅介護していたからわかるけど車椅子本当に重い💦毎日持ち上げは無理と判断して急いで玄関も含め自宅の1階をバリアフリーにリフォームしたよ…しかも普通の車椅子ならともかく電動車椅子になると大人1人分の重量になるらしいみたい…💦
引用:X
介助者が車椅子の持ち上げをするのは困難といった口コミがあります。少しの段差なら大丈夫だろうと考えても、車椅子自体に重量があるのです。
電動車椅子は大人一人分の重さがあるため、安全な移動をするためにもバリアフリーリフォームを検討しましょう。
玄関のバリアフリーリフォームを成功させるポイント
玄関のバリアフリーリフォーム以外にも対策をすると、満足度が向上するうえに十分な効果が得やすくなります。そこで、ここからは玄関のバリアフリーリフォームを成功させるポイントを、3つ紹介します。
玄関と室内の温度差を最小限にする
玄関のバリアフリーリフォームでは、玄関と室内の温度差を最小限にすることも大切です。玄関と室内の温度差を最小限にできれば、ヒートショックの予防になります。
ヒートショックは、お風呂で生じやすいイメージがあるものの、玄関でも起こる事故です。玄関は開口部であり熱の出入りが多いため、室温との温度差が生じやすくなります。
加えて、玄関では立ち座りを行い外出する身支度を整えるのに時間もかかります。急激な温度変化により血圧が大きく変動して健康被害が出ないように玄関ドアや窓の断熱性を高めることも重要です。
足元を明るくする
足元を明るくすることも、玄関のバリアフリーリフォームを成功させるポイントの1つです。玄関で足元が明るければ、転倒防止につながります。
玄関ドアに採光目的のガラス面があり、玄関が明るい家なら問題はありません。ただし、玄関の窓も小さくドアにガラス面がない家ほど、玄関は暗くなりがちです。
玄関が暗いと、ドアの開閉時に入り込んだ小さな石などに気が付かず、つまづく可能性があります。もし、足元が明るければ、つまずき防止になりケガのリスクも抑えられるのです。
玄関以外の出入りを検討する
玄関のバリアフリーリフォームをする際には、玄関以外の出入りを検討することもひとつの方法です。玄関がそれほど広くなく段差も多ければ、リビングの掃き出し窓といった別の開口部の方が幅が広く安全な場合もあります。
玄関から出入りするために多くの箇所をリフォームすれば費用がかさみます。加えて、リフォーム箇所が多いほど工期もかかるのです。
ならば、玄関以外の場所からの出入りを検討することも大切になります。リビングなら、大きな窓があり外が庭のことが多いため、安心で安全な場合が多いのです。
玄関のバリアフリーリフォームには補助金を利用しよう


玄関のバリアフリーリフォームを実施するなら、かかる費用を最小限にするのが賢明です。そこで、ここからは玄関のバリアフリーリフォームで利用できる補助金を、3つ紹介します。
介護保険による住宅改修
玄関のバリアフリーリフォームでは、介護保険による住宅改修で補助金を利用できます。介護保険による住宅改修では要支援や要介護の区分にかかわらず、上限18万円の補助が可能です。
介護保険では、次のようなリフォーム内容で補助を受けられます。
- 手すりの設置
- 段差の解消
- 床材の変更
- 引き戸への交換 など
介護保険による住宅改修では、ケアマネージャーと相談しリフォーム内容を検討する必要があります。介護保険の補助金を利用する際には、ケアマネージャーに伝えておきましょう。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業も、玄関のバリアフリーリフォームで利用できる補助金です。長期優良住宅リフォーム推進事業では、最大で210万円の補助を受けられます。
利用条件は、構造部の劣化や省エネ性能向上といった基準をクリアした長期優良住宅がバリアフリーリフォームをする場合のみです。長期優良住宅化リフォーム推進事業では、次のようなリフォームを実施すると補助金を受け取れます。
- 手すりの設置
- 段差の解消
- 玄関スペースの拡大
- 屋外スロープの設置
- 屋外に手すりの設置 など
長期優良住宅であれば、活用するのが賢明です。
子育てグリーン住宅支援事業
玄関のバリアフリーリフォームでは、子育てグリーン住宅支援事業の補助金も受け取れます。子育てグリーン住宅支援事業なら、最大で60万円の補助が可能です。
ただし、子育てグリーン住宅支援事業の利用条件は次のようになります。
- 構造部の断熱性向上
- 開口部の断熱性向上
- エコ住宅設備の設置
上記のうち、いずれか2つの工事を実施したうえで、バリアフリーリフォームを行う必要があります。玄関のバリアフリーリフォームにあわせて、断熱リフォームや設備の導入を検討するなら、利用しやすい補助金です。
玄関のバリアフリーリフォームならリノベーションハイムにご相談ください


玄関のバリアフリーリフォームを検討するなら、リノベーションハイムにお問い合わせください。
リノベーションハイムはセキスイハイムのグループ会社であり、リフォーム実績が50年以上あります。玄関のリフォームはもちろん、あわせて断熱リフォームや耐震リフォームも実施可能です。
補助金を活用したプランの提案もできるため、手の届きやすい費用でリフォームができます。玄関のバリアフリーリフォームについて不安点や不明点があれば、お気軽にご相談ください。
まとめ
本記事では玄関のバリアフリーリフォームについて解説しました。玄関は段差が多く、スペースが限られていることから、適切なリフォーム内容の選定が賢明です。
いずれ使うだろうと考えて設置すると、邪魔になることや玄関のスペースを狭くすることになりかねません。最適な玄関のバリアフリーリフォームを実施するなら、リノベーションハイムにお問い合わせください。
本記事があなたのお役に立てることを願っております。